シミは単なる“日焼けの跡”ではない
年齢を重ねるにつれて気になり始める肌悩みのひとつが「シミ」です。鏡を見るたびに以前はなかった斑点に気づき、「どうして急に?」と感じる方も少なくありません。しかし、シミはある日突然できるものではなく、長年の紫外線ダメージや生活習慣の影響がゆっくりと肌に蓄積し、時間をかけて表面化するものです。つまり、シミは“過去の肌ダメージの履歴”が現れた結果といえます。
シミは一度できると自然に消えることはほとんどなく、放置するほど濃く、広く、そして定着しやすくなります。初期のうちは肌のターンオーバーによって徐々に薄くなる場合もありますが、加齢や紫外線の影響で代謝がさらに遅くなると、メラニンが排出されず肌内部に蓄積します。その結果、色素沈着が進み、見た目にもくすみや老けた印象を与えるようになります。
本記事では、「シミの原因」について解説します。気になるシミがある場合は、美容皮膚科で原因に合わせた治療や適切なスキンケアを受けることで、肌本来の透明感を取り戻すことが可能です。
シミとは?
シミとは、肌の一部にメラニン色素が過剰に沈着してできる薄茶色から濃い褐色の斑点のことです。主な原因は紫外線で、肌が外部刺激から自らを守ろうとしてメラニンを多く作り出すことにより発生します。通常であれば、ターンオーバー(新陳代謝)によって古い角質とともにメラニンも排出されますが、代謝のリズムが乱れると排出されずに肌内部に残り、色素沈着として定着してしまいます。
シミの種類
シミにはいくつかのタイプがあり、原因や特徴、現れやすい部位が異なります。
・老人性色素斑
一般的なのが「老人性色素斑」です。いわゆる“日焼けによるシミ”とも呼ばれ、長年の紫外線ダメージが積み重なって生じます。頬やこめかみ、手の甲など日光を浴びやすい部位にできやすく、輪郭がはっきりとした濃い茶色の斑点が特徴です。年齢を重ねるにつれて現れやすくなるため、早めの紫外線対策が重要です。
・肝斑
次に多いのが「肝斑」です。これはホルモンバランスの乱れが関係しており、30〜50代の女性に多く見られます。左右対称に広がる淡い茶色のもやっとしたシミが特徴で、妊娠やピルの使用、ストレスなどがきっかけとなる場合があります。紫外線によって悪化しやすいため、適切なスキンケアと医療的な治療の併用が効果的です。
・そばかす(雀卵斑)
また、「そばかす(雀卵斑)」は遺伝的な要因が強いタイプで、幼少期から出やすい傾向にあります。鼻や頬の中心部に細かく散らばり、紫外線で濃くなることが多いのが特徴です。紫外線を浴びやすい春夏は特に濃く見える傾向があります。
・炎症後色素沈着
「炎症後色素沈着」は、ニキビや虫刺され、やけどなどの炎症が治ったあとに残るシミです。摩擦や自己処理によって悪化することもあり、時間とともに薄くなることもありますが、放置すると定着するケースもあります。日々のスキンケアや紫外線対策を怠らないことが回復の鍵になります。
・脂漏性角化症(老人性いぼ)
最後に「脂漏性角化症(老人性いぼ)」もシミに似た見た目をしています。これは皮膚の老化や紫外線の影響で角質が厚くなり、盛り上がったように見えるものです。色が濃くなることもあり、シミと区別がつきにくいですが、医療機関で診断すれば除去することが可能です。
シミの原因
シミを引き起こす主な要因は「紫外線」です。紫外線を浴びると、肌はメラノサイトという細胞を刺激し、メラニンという色素を生成します。本来メラニンは紫外線によるダメージから肌を守るための防御反応ですが、過剰に作られると排出が追いつかず、肌の内部に沈着してシミになります。
加齢もシミの発生に関係します。年齢を重ねることでターンオーバーの周期が長くなり、メラニンが排出されにくくなります。また、肌のバリア機能も低下し、紫外線や摩擦といった外的刺激を受けやすくなるため、シミが増えやすくなるのです。
シミができるメカニズム
シミができる仕組みは、「外部刺激に対する肌の防御反応」と「ターンオーバーの乱れ」が重なることで起こります。紫外線や摩擦、炎症といった刺激を受けると、基底層にあるメラノサイトが活性化し、メラニンを生成します。メラニンは紫外線によるDNA損傷を防ぐ役割を持つため、肌にとって必要な物質でもあります。生成されたメラニンは、表皮細胞に受け渡され、通常はターンオーバーによって角質とともに排出されます。しかし、加齢、睡眠不足やストレス、栄養バランスの乱れなどにより代謝が低下すると、メラニンが皮膚内に残ってしまいます。これが長く蓄積すると、表面からシミとして見えるようになります。
さらに、紫外線を浴びると「メラノサイト刺激ホルモン(MSH)」が分泌され、メラニン生成を司るチロシナーゼ酵素が活発化します。この酵素が過剰に働くと、メラニンが増え、シミの色が濃くなります。ニキビやマスクの擦れなどによる炎症もメラニン生成を促すため、日常的な小さな刺激にも注意が必要です。
シミ予防
シミを防ぐためには、紫外線対策を中心に、肌の代謝を整えるケアを続けることが欠かせません。メラニンが過剰に作られないようにすること、そして生成されたメラニンをスムーズに排出できる肌環境を整えることがポイントです。
・紫外線対策
基本となるのは「紫外線対策」です。日焼け止めは季節を問わず毎日使用することが大切です。特に顔や首、手の甲などは紫外線を浴びやすいため、朝のスキンケアの最後に必ず塗り、数時間ごとに塗り直すのが理想です。屋外だけでなく、窓際や車内でも紫外線は届くため、室内でも油断はできません。帽子や日傘、サングラスの併用も効果的です。
・スキンケア
次に「スキンケア」です。洗顔後はすぐに保湿を行い、肌のバリア機能を守ることが大切です。乾燥した肌は刺激に弱く、炎症を起こしやすくなるため、シミの引き金になります。また、美白有効成分を含む化粧品を取り入れると、メラニンの生成を抑えるサポートになります。代表的な成分にはビタミンC誘導体、アルブチン、トラネキサム酸などがあります。
・生活習慣
さらに、内側からのケアも欠かせません。抗酸化作用を持つビタミンC・E・βカロテンを多く含む食事を意識し、肌細胞の酸化を防ぐことが重要です。睡眠も美肌づくりに深く関係しています。夜10時から深夜2時は肌の修復が最も活発に行われる「ゴールデンタイム」とされ、この時間帯にしっかり眠ることでターンオーバーが整いやすくなります。また、ストレスを溜めないこともシミ予防には重要です。ストレスはホルモンのバランスを乱し、メラニン生成を活発にする要因となります。
シミ治療
当院では、治療前の診断時にVISIAによる肌診断を行い、患者さんの肌状態をしっかり把握したうえで治療計画を作成します。さまざまな症状に対応するため、各種先端機器や内服薬・外服薬による治療にも対応しています。シミでお悩みの際は、当院までご相談ください。
VISIAとは、顔全体をUV写真とカラー写真で撮影して、肌の状態を分析する診断機器です。しわやシミ、肌年齢、肌質など細かく評価することができ、同年代との肌質の比較も可能です。
高岡市でシミ治療なら皮膚科ちえこクリニック
シミのもととなるさまざまな原因分析と、症状に対する適切な治療を、患者さんの肌の状態に合わせてご提供いたします。シミにお悩みの際はお気軽にご相談ください。