乾癬
どんな病気ですか?
皮膚から少し盛り上がった赤い発疹(紅斑)に白色のふけのようなもの(鱗屑)が付着し、ポロポロはがれ落ちる皮膚の病気です。
原因はまだ完全にはわかっていませんが、乾癬になりやすい遺伝的素因があることがわかっています。遺伝的素因に様々な環境因子(不規則な生活や食事、ストレス、肥満、感染症、薬剤性)が加わって発症します。
人にうつる病気ではありません。乾癬にはいくつかのタイプがありますが、尋常性乾癬が大半を占めます。
乾癬がある方の2割で爪の異常(爪がはがれる・変形)や関節炎を併発するといわれています。
乾癬の検査
診断は問診・視診や、必要に応じて皮膚生検(局所麻酔をして皮膚の一部を切り取り、病理組織学的に調べる検査です)を行います。
乾癬の治療
乾癬は慢性で軽快と悪化を繰り返します。外用療法を基本としたピラミッド計画に基づき、症状によって治療法を選択し、場合によっては組み合わせていきます。
・外用療法(塗り薬)
基本となる治療です。炎症を抑えるステロイド外用薬、表皮の増殖を抑えるビタミンD₃外用薬を使用します。
・光線療法
塗り薬だけでよくならない場合や皮疹が広範囲にある場合に行います。皮疹に紫外線を照射します。治療効果のある波長の紫外線を照射する医療機器を使用します。
・内服療法
皮膚細胞の増殖を抑えるレチノイド、免疫反応を抑えるアプレミラストや、免疫抑制薬のシクロスポリン、メソトレキセートなどを用います。かゆみが強い場合はかゆみ止めを処方します。
・生物学的製剤(注射)
乾癬では体の免疫システムの異常により炎症性サイトカインというたんぱく質が過剰に産生されています。乾癬に関与する炎症性サイトカインは様々な種類があり、近年、これをターゲットとした生物学的製剤が次々と発売されてきました。注射または点滴の治療で、症状が強い方の治療選択肢です。
日常生活の注意点
食事はバランスよく、規則正しい生活をし、なるべくストレスを避けてください。
皮膚の刺激で皮疹が悪くなります。体をゴシゴシ洗うことや、皮膚に刺激のある服を着たりすることは避けてください。
今のところ根治的治療はなく、長く症状が続く病気です。
社会生活を不自由なく過ごせるようになるまで症状を抑えることが目標になります。
根気よく治療を行うために定期的な通院を続けることも大切です。
どんなときに皮疹がでやすいですか?
A風邪などの感染症にかかったときや、擦ったりする刺激、心的ストレスなどがあげられます。
治療自体がストレスになる場合は遠慮なく治療方法を相談してください
どういう場所に皮疹が出やすいですか?
A全身どこにでも出ますが、ひじ、ひざ、腰まわりなどのよくこすれる場所に出やすいです。
髪がすれる頭部もよく出ます。こすれることがよくないので、体を固いタオルでこすることや、ぴったりした細身の洋服なども避けてください。
乾癬は完治しますか?
A乾癬は慢性で皮疹を繰り返す病気ですが、治療により皮疹がほとんど消える場合や、長期にわたって皮疹がでない、または自然消退する場合もあります。継続して治療を行うことが大切です。