皮脂欠乏性湿疹について
寒くなるとすねや背中がかさかさしてかゆくなる症状にお困りの方へ、皮脂欠乏性湿疹(ひしけつぼうせいしっしん)についてお話します。
皮脂欠乏性湿疹の症状
皮脂欠乏性湿疹はすねの部分(とくに前側)にできやすいですが太ももや腰まわり、肩、背中などにも生じます。 皮膚が乾燥しかさかさして白い粉をふいたようになり(乾燥肌・乾皮症)、しばしば赤く丸い湿疹やひびわれたような赤い湿疹を生じます。 かゆみのためかききずが見られる場合があります。 皮脂欠乏性湿疹は高齢者に多いですが、20代でもみられることがあります。 冬季に悪くなり、夏になると症状が軽くなる傾向があります。
皮脂欠乏性湿疹の原因
皮脂欠乏性湿疹の原因は皮脂が少なくなり、皮膚のバリア機能が低下することで外部からの刺激に弱くなることです。
皮脂欠乏性湿疹の治療法
毎日の保湿ケアが予防に重要な役割を果たしますが、湿疹化してしまった場合はステロイド外用剤などを使用して適切な治療をすることが必要です。 ヒルドイド(ヘパリン類似物質)やプロペトなどの保湿剤を1日2回充分に塗布します。 入浴後は5~10分以内に塗るのが効果的です。 ヒルドイドの有効成分であるヘパリン類似物質は水分子を引き寄せ、水分を保持することにより保湿作用がでると考えられています。 ヒルドイドにはヒルドイドクリーム、ヒルドイドソフト軟膏、ヒルドイドローション、ヒルドイドフォームと4つの剤形があります。 ひふの状態や季節、使用感などで使い分けをします。 湿疹、かゆみがあるときは炎症をなおすステロイド剤の外用も一緒に使用します。 かゆみが強い場合は抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤の飲み薬を飲みます。 漢方薬も効果がある薬があります。
皮脂欠乏性湿疹の日常生活の注意点
ひふが乾燥するとバリア機能が低下し、ちょっとした刺激や温まることでひふがかゆくなりやすくなります。 皮脂欠乏性湿疹(乾皮症・乾燥肌)で悩まれている方は日常生活では次のことに注意してください。
暖房
- こたつや電気毛布を長時間使用しないようにする、またファンヒーターの温風に直接あたらないようにしましょう。
- 部屋の湿度は50~60%ぐらいに保ちます。加湿器を使用すると湿度を調節しやすいです。 ぬれたバスタオルなどを部屋にかけておいたり、大きな皿やコップなどに水をいれて部屋に置いたりするのも空気の乾燥を防ぎます。
入浴
- 入浴は40℃位のぬるま湯で。熱い湯に長く入るのはさけます。
- イオウ入りの入浴剤は皮膚が乾燥するので使用しないようにしましょう。
- ナイロンタオルやスポンジでごしごし強くこすると皮脂がとれすぎたり、皮膚が傷つくことがあります、ナイロンタオルやスポンジは使わないようにしましょう。からだを洗うときは,石けんをよく泡立てて、やわらかいタオルか手でそっと洗いましょう。
- 入浴後はさっとからだをふいたらすぐに保湿をするようにします。
食事
- アルコール、香辛料、生姜など血行を促進する食べ物はかゆくなりやすいので、とりすぎないようにしましょう。
衣服について
- ウール、化繊など毛羽だった繊維が直接素肌に触れると刺激でかゆくなります。
- サイズが小さい下着を無理に着ると、体の動きに伴って下着がずれて刺激になります。サイズのあったものを着るようにしましょう。
このような場合はこじれる前にご相談ください
ひふに保湿剤を塗っているがかゆみやかさかさが治らない。
かゆみが強く夜眠れない、または日中気になってしまう。
かさかさだけでなく、ひふにひびわれや赤みがでてきた。
かゆい部分から汁が出ている。